会長法話
有本 亮啓 前会長 第25話
浄土宗日常勤行のおはなし 十七、総回向偈
願以此功徳 平等施一切 同発菩提心 往生安楽国
「願くは、この功徳をもって、あまねく一切にほどこし、同じく菩提心をおこして、 安楽国(極楽)に往生せん」
この偈文は前回の別回向を更に広げて、自らのご先祖さま方や、ご縁ある亡者のみならず、すべての亡き方々、又、生きとし生けるもの皆共々に阿弥陀さまのお救いが戴けますようにと、一切の功徳(特にお念仏)を回し向け(振り向け)ましょうとの意味です。
菩提心とは願往生心とも云い、私たち念仏者にとっては、ひたすら往生を願う心のことです。まずこの自分が極楽往生させて頂きますようにと願うことですが、と同時に自分だけではなく一切の人々の幸せを願う大きな心でなければならないと思います。
「私だけが極楽に往生出来ますように、あの憎い奴は地獄へ行け」
こんなのは駄目ですよ。
「恩は石に刻むべし、恨みは水に流すべし」といういい言葉があります。
ご恩あるご先祖さまをはじめとして善縁の方々は勿論、長い人生いろいろと恨みや、憎しみのあった悪縁の方々も共々に往生させて戴きたいとの大きな心でお念仏を申したいものですね。そして極楽往生した後に、すべての人々をお救いすることが出来る種々の力(神通力)を身につけて、やがてこの世にもどってきて、すべての人々を守り、育て、救うことの出来る仏さまに成らせて頂きたいものです。
合掌