会長法話
『四転倒』の教え
この度は「思い違いをしてませんか」というお話を致します。
自分は間違っていない、世間の常識としても正しいことをしていると思っていることが、よくよく考えてみると、とんでもない思い違いをしていたことに気が付くことがあります。
この思い違いをしていることを気付かれて示して下さった教えが涅槃経に説かれてある『四転倒』の教えです。
四つの顛倒、ひっくり返るという意味の顛倒です。
代表的な四つのひっくり返った思い違いを説いてあるのです。
その四つとは、常楽我浄です。
まずその四顛倒の第一番の常顛倒のお話を致します。
此の世のものは、すべてツネでないのですが、我々はツネと思い違いをするので苦しみ悩むのです。
ツネでないと言うことは、すべて移り変わると言うことです。
ツネでないと書くと無常です。
すべてのものがツネでないということが諸行無常です。
お釈迦様の悟りの第一番です。
今日の健康、今日の幸せはずーと常に続かないのに、明日も明後日もずーと大立夫と思うのは間違いであると言うことです。
娑婆の荒波と言うように、喜び、悲しみ、幸せ、不幸せと、波に浮き沈みしていくのが、此の世なのです。
だから、幸せの数だけ不幸せもあるのです。
此の世に在るものは、すべて、うつり、変わるのです。
生きているものは、言うまでも無く、机や家具や道具だって、此の世にあるものですから変わっていきます。
いつまでも新品のままではないでしょう。
中国の故事に「人間万事塞翁が馬」という話がありますが、要塞の側に住んでいた翁が飼っていた馬は、立派な馬であった。
その馬に息子が乗って落馬して片足を失うことになった。
翁は大変嘆いた。
その国に戦争が始まって、青年は皆、兵隊に出た。
しかし翁の息子は障害者で免除された。
翁は喜んだ。
ある朝、愛馬が逃げていなくなった。
翁は病気に成る程悲しんだ。
しかし、暫くして愛馬が帰ってきた。
しかも、もう1頭連れて帰ってきたので、翁は大変喜んだ。
ところが、 戦争が激しくなって、翁の家は焼かれてしまった。
翁も息子も、愛馬も、みな死んでしまった。
吉凶はあざなえる縄の如く、すべては諸行無常であると言うことです。
しかしまた今日どんなに辛い事があっても、それもずーとツネに続かないのです。
必ず頑張っていれば、また笑う日も来るのです。
しかし幸せもツネでないから、この幸せを喜び大切にするのです。
そして必ず反対が来るぞと、先をみて注意をする生き方になります。
常顛倒、一つを知っても、今日までとは生き方 が変わりますよ。