会長法話

中村 晃和 前会長 第13話

「命と向き合おう!」


 人はだれもが「しあわわせな人生」を送りたいと願うものです。
 しかしながら人生は平坦ではありませんし、ちょうど季節が移り変わりゆくように歳と共に考え方や目指すもの、やらねばならないことも変わってきます。
 古代インドの伝統的社会規範を説く聖典に「マヌの法典」があります。
 そこには人生の生き方を四つのステージに区切って生きることを理想とする生き方が示されており、これを「四住期」と呼んでいます。
  第一ステージを「学生期」(がくしょうき)と言い、社会にでるまでの準備期間で、生きるすべを学び、体をきたえ、きたるべき社会生活のための修行を積む期間であります。
 第二ステージは「家住期」(かじゅうき)で、仕事をもち結婚して子どもを育て社会に貢献する働き盛りの時期でここまではどこの社会でも同じことです。
  第三ステージは「林住期」(りんじゅうき)といって家庭・社会での役割を果たし終えて、必ずしも家を出て林に住むわけではありませんが自ら歩んできた道をふりかえり、人間とは、自分とは、人生とは何かを、自己の内面と向き合い成熟した生き方を目指す時期で、年齢でいえば六十歳~七十五歳ぐらいでしょうか。
  林住期をぬけると第四ステージの「遊行期」(ゆぎょうき)となります。人生の最後が見えてくる時期で後悔や未練にもがくことなく、仏様の慈悲のみ光につつまれお浄土へ導かれ、やがてはお浄土で懐かしい人と再会できる日を楽しみに待つ時期、七十六歳~一〇〇歳ぐらいでしょうか。
 遊行期のとびらを前にして不思議なときめきを覚えることのできるようお念佛に精進したいものです。                     

合掌   南無阿弥陀仏

㊟ マヌの法典 紀元前後にインドで成立した法典で、ヒンズー教徒の生活を規定したもので十二章からなっている。

バックナンバーを見る