会長法話

中村 晃和 前会長 第29話

 曠劫多少のあひだにも 出離の強縁しらざりき
 本師源空いまさずば このたびむなしくすぎなまし
                   親鸞聖人作「源空上人御和讃より」

 冒頭に掲げさせていただいたお歌は、親鸞聖人が元祖法然上人のお徳をお讃えになられてお作りになられた「源空(法然上人)和讃」の一首です。
 どのような内容かと申しますと、永劫の長い間、私(親鸞)は悟りを開かずに六道(迷いの世界)を流転してきた。しかし今、本師源空上人のおかげで念仏門に入って、そして「出離」六道輪廻を離れ悟りに入るご縁を頂いた。
 もし、源空上人にお会いできなかったなら、これ又空しく過ぎてしまうところだった。有難かったという意味です。
 浄土宗の教えは、法然上人がその生涯を通して見出された「南無阿弥陀仏」ととなえることによって誰でもが、極楽浄土に往生することができるというものです。
 この教えにより民衆や女性はどんなに救われたことでしょうか。
 なにしろ、それまでの仏教の教えでは民衆や女性は極楽浄土に往生すること以前に、仏教と縁を結ぶことすら難しかったのですから。
 御忌会は、阿弥陀様のお力により、誰でも往生できるこのすばらしい教えを我々に示して下さった法然上人の恩徳に感謝する、浄土宗にとって最も大切な法要です。是非ご参詣お待ち申し上げております。

合掌

バックナンバーを見る