今月の法話

令和6年4月

今を生きる教え

 法然上人がお念仏の御宗旨を開宗されてより850年の春を迎えました。私たちは、いかなる善業によりてか、このたびの50年に1度の慶讃の盛儀に会えたことを何よりも喜び、お念仏に更なる拍車をかける時宜であります。

 去る3月15日、京都嵯峨の釈迦堂清凉寺のおたいまつに参詣させていただきました。おまつりの露店目当ての孫3人を引き連れて、本尊釈迦牟尼如来お涅槃会に因む行事に結縁させていただきました。御山主親修の法要と、直々の御法話を聴聞し、しみじみと870年昔、24歳の法然上人が生死解脱の道を、ここ釈迦堂の生身のお釈迦様に求められた往時を偲ばせていただきました。

 法然上人は釈迦堂で願われた自身の解脱と共に、7日間の参籠中に参詣者の庶民凡愚の喘ぎ、煩い、娑婆の苦の呻吟の声を耳目にされたことは、上人御生涯中、()めることなく、さらに求道心を堅くされたことでした。

 43歳の時に開宗を決し、お念仏を申す法然上人の頬に千筋の嬉しい涙が伝ったとお伝記にあります。すべての人が救われる喜びの涙に他ありませんでした。

 自他法界同利益 共生極楽成仏道がお念仏によって叶うことを法然上人が確信されたのです。この度の知恩院のキャッチコピーは「今を生きる教え」です。お念仏を申してこそ、今を生きると言えましょう。今こそお念仏。   合掌

滋賀 西方寺
安部隆瑞

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