今月の法話
令和4年3月
往生之業念仏為先
春の息吹が感じられる季節になりました。「梅は咲いたか桜はまだかいな」と江戸の端唄にありますが私の自坊では、冬に降り積もった雪がまだ沢山残っています。ですが春の日差しが増してきますと、雪の中でも梅の花が開き私たちの気持ちも明るくしてくれます。
世間では未だコロナウイルスが蔓延し、私たちの生活が以前とはだいぶ違うものとなっています。ですが必ず元の生活に戻ると確信しています。春の来ないことはないのです。
「自宅での生活が長い今こそ法然上人が残されたお念仏に今一度向き合ったらいかがでしょうか」 と話された先生がおられました。私も良い機会を頂いたと考えています。机の上の本を読んでいますと大本山光明寺藤吉台下のお言葉があり「疑いながらも念仏すれば往生す」と法然上人が仰せられておられると書かれてありました。人間は、疑い心を最後まで無くさない、法然上人はそんな私達を導くためにお念仏を唱えていれば疑い心も無くなってゆく、と感じられてこのお言葉を残されたのです。
まずはお念仏を、すなわち「往生之業念仏為先」です。重ねて申し上げますが、春が来ないことはありません。雪が解けるかの様にお念仏を唱えてゆけば必ず疑い心も消え真のお念仏に代わってゆくことでしょう。こんな時期だからこそお念仏をお唱えて参りましょう。
合掌
新潟 天崇寺
長谷川三靖