今月の法話

令和3年12月

法然さまのお言葉

逆修(ぎゃくしゅう)説法(せっぽう)()といって、()る方(中原(なかはらの)師秀(もろひで)・高官職の人)が自身の亡くなった後のため、あらかじめ善根功徳を積む仏事を法然さまに請われた御説法の中に、

『お釈迦さまの弟子に阿那(あな)(りつ)という方がいました。この方はお釈迦さまの説法中、居眠りすることが多く、度々注意を受けていました。

 ある時、深く恥じ入り不眠の誓いを立てて修行をはじめたのですが、あろうことか七日目に眼の光を失ってしまったのです。

 阿那律が医師のもとへ赴き問うと、「人は食によって命を保ちます。肉眼(にくげん)にとっての食は睡眠です。もし人が七日も食事をしなければ命はもちません。命の尽きることは医療の及ぶところではありません。肉眼だって同じです」。

 阿那律はその後、お釈迦さまの導きのもと修行をつづけ、ついに天眼第一、見ることはできなくても、洞察力のすぐれた悟りを得たのです』という一節があります。

 肉眼にとって睡眠、身体にとって食が維持の根本です。しかし、「命の尽きることは医療の及ぶところではない」のも間違いのないことです。

 法然さまは、生きては身も心も柔らかに悦び励み勇んで、やがては浄土に生まれ往く、その阿弥陀さまの力強い導きと救い(本願(ほんがん)他力(たりき))は、南無阿弥陀仏の六字に(そな)わり(そな)わっていると示されています。ただ一向にお念佛してまいりましょう。

北海道第一 長昌寺
麻上昌幸

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