今月の法話
令和7年2月
涅 槃 図 (ねはんず)
法然上人ご遺訓一枚起請文に「二尊のあわれみに外れ本願にもれ候べし」とありますが、法然上人が示されたお念仏のみ教えは釈迦・弥陀の二尊教です。お釈迦様はたとえ凡夫(愚かな身)でも、阿弥陀仏の救いの慈悲は念仏の行者をいつも照らして下さると示されました。
釈迦牟尼仏という仏になられたお釈迦様も80歳で人間としての命が終わる時がきます。2月15日がご命日で、涅槃図には頭北面西(頭は北を向き、顔は西を向いている)のお姿と共に悲しみのお弟子さんたちや、動物たち、枯れてしまう木々まで描かれております。
お釈迦様のお言葉をまとめられ残された多くの経典の中で、『涅槃経』に最後の言葉として「すべては移りゆく、怠ることなく勤め励めよ」と形あるものは変化消滅してゆく。自分の目標に向かって精一杯勤め励み、一生涯努力精進することの大切さを示しています。
法然上人の最後の言葉は一枚起請文で「愚鈍の身になして~ただ一向に念佛すべし」と結ばれます。自分自身の愚さをしっかり自覚した上で、阿弥陀仏の本願を信じ、来迎を願い、極楽浄土に往生したいという想いを持ってお称えする精進のお念仏と受け止められます。法然上人のご命日は1月25日ですが、御年80歳はお釈迦様と同じ年齢です。
私たちがお称えするお念仏には法然上人の「ただ一向に念佛すべし」という勤め励むお念仏への想いが受け継がれている事を自覚し、日々のお念仏に精進してまいりましょう。 合掌
岩手 吉祥寺
武田眞和