今月の法話
平成24年4月
永遠のいのち
知恩院では毎年4月に元祖さまのご命日の法要として、御忌をお勤めするのです。今年は法然上人がご遷化なされて丸八百年に成るのですが、法然さまは今なお生き続けて、私達を守り導いて下さっているのです。
「花びらは散っても花は散らない」という言葉があります。四月は桜の季節、桜は満開と成ったら、アッという間に散ってしまう。しかし散るのは桜の花そのものではなく、花びらが散るのです。桜花は来年、再来年に又咲くのです。仮に桜の木そのものが枯れたとしても、その木の二世、三世が花咲かせてくれる。
人の「いのち」もしかり、この世の「いのち」は儚く消えてゆく。でも死んでゆくのは肉体であって、命は滅びないのです。生れかわり、死にかわり、「いのち」は生死を繰り返すのです。これを生死輪廻と申します。しかし桜のように、いつも美しい花が咲けばよいが、時に萎れたり、やつれたりでは大変です。
そこで極楽に往き生れて、美しい花を咲かせて頂き、散らぬ花となり、永遠のいのち(仏)とさせて戴かねば、心安まりません。為には、お念仏を称えねばなりません。
南無とは「どうぞお願いします。お任せします。」阿弥陀仏とは私達を生死輪廻から極楽浄土へお救い下さる大み親さまです。お念仏をお称えし、阿弥陀さまにお迎え頂き、極楽往生の後、やがて仏と成って生き続け、あとに残った者の心に花を咲かせ、守り導いて往くのです。
合掌
大阪 大鏡寺
有本 亮啓