今月の法話

平成26年3月

今年、立春を迎えてからの余寒は一段と厳しいものでした。東京では45年ぶりの積雪とのこと、ほか全国各地でも交通網が寸断され、高速道路で渋滞を強いられたり、また新幹線の大幅の遅れなど、寒波の波及は甚大でした。
  そんな寒さに震えた2月、何よりも温かな話題は、申すまでもなくあのソチ五輪出場の選手たちの素晴らしい活躍でした。世界の舞台で競技する選手の果敢な姿は、表現する言葉が見つからぬほど、魅惑的でした。さらに新聞報道によって、それぞれのメダリストたち、あるいは入賞者たちの今日までの切磋琢磨、また失意落胆からの再起、家族愛やコーチの薫陶など、私は心に残る大きな感動を貰いました。
  人は、「天才」とか「生まれつきの才能」などと、それぞれの成果をそんな一言で片付けがちであります。発明王・エジソン(1847~1931)は、「99%の努力と1%の閃き」と言葉を残しています。メダリストや入賞者たちの競技場での僅かな数分間の競技成績の光栄は、偶然でもないし、生まれつきの天才だからでもないと私は確信しています。天才と言われる人ほど、人知れず苦闘に涙し、毎日毎日、努力練習に明け暮れている人に違いありません。
  さて五輪と言えば、「金」。メダリストに限らず、私たち凡夫でも「金」を獲得出来ると、法然上人は『選択集』第3章にお示しいただいております。瓦礫同然の私たち凡夫が、心を極楽に振り向けてよくお念仏を申せば、この身このままで往生させていただき、瓦礫とは比べものにならない「金」の如き菩薩にならせていただけるというのです。それには、メダリスト同様、毎日の生活が重要です。毎日のお念佛生活が、「金」に繋がっていくのです。

合掌

滋賀 西方寺
安部隆瑞

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