今月の法話

平成28年7月

転重軽受

法然上人のご法語に『転重軽受』というお言葉があります。
「阿弥陀仏の御力は、お念仏を信じる者を『転重軽受』といって、重く受けるはずの病を、軽く受けるようにして下さいます。」とおっしゃられています。
 これは病気だけでなく、全てのことに通じるお念仏のみ教えです。
 私自身若い時から病気知らずで元気だけが取り柄でした、50代後半から腰を患い、温存療法で長年ごまかして来ましたが、とうとう歩けなくなり脊椎間狭窄症の手術を受けました。
 術後順調に回復し無事退院しましたが、少々無理をした為か、だんだんと平衡感覚がおかしくなり、歩行不能になりました。
 首の頚椎症ということで頸椎の手術も行うことになりました。
 二度の大手術、そして入院生活の中で私を支えてくれたのが家族と南無阿弥陀仏のお念仏でした。
 特に首の手術の後は頭が動かせず、首をカラーで固めたまま病院の天井を見つめる日々が続きました。
 ベッドから動けなくともお念仏はできる。動けないのもお念仏をお唱えさせていただくためと眠れぬ時もお念仏、やるせない時もお念仏。
 そのお蔭か、いつの間にか『転重軽受』と私の気持ち、心が変わってきました。
 いまでは半年たち、リハビリのかいもあり日常生活を問題なく送っています。
 重きを転じて軽く受ける『転重軽受』
 人生には色々なことがあります。皆様も日常生活の中でお念仏の中に生かされている有難さを感じて下さい。

合掌

                      

愛媛 誓重寺
棟久了玄

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