今月の法話

平成28年11月

頼りとすべきは

ある日の出来事。上京のついでに買い物をしようと思い立ちました。目指すお店は江戸時代から続く老舗で、足を運ぶのは五年ぶりのこと。「今日はどんな買い物ができるだろうか…」とウキウキしながら歩みを進めました。ところが、記憶していた場所へ行っても目指す店が見当たりません。「場所を間違えたか?」と近くをウロウロしたけれども、どうやら間違いではないらしい。しばらく途方に暮れていると街の様子が以前と変わっていることに気付きました。再開発により一帯がビルごと建て替えられていたのです。急ぎスマホを取出し調べると、少し離れた所に移転したことが判明。回り道はしましたが、無事にお店にたどり着き買い物ができました。
 その時、改めて感じたことは「この世は移ろい変わる世界なんだな」ということです。店の場所がずっと変わらないとは限らないし、ひょっとしたらお店そのものが無くなることも…。この世がいかに「頼りない世界」なのか、今さらながら気付かされました。
 対して、私たちが目指す極楽浄土は「無衰無変」の世界であり、頼りとする阿弥陀さまは「無量寿」の仏さまです。阿弥陀さまは極楽浄土という不滅の世界を構え、お念仏称える者を永遠に救い続けて下さる。こんなに心強いことはありません。
 移ろいやすくやがて消えゆくものに、どうして我が身を安心して委ねることなどできましょうか?
「ナムアミダブツと我が名を呼ぶ者、必ず極楽へ救う」。
 未来永劫変わらぬ阿弥陀さまの救いこそを頼りとして、極楽へ救われ往くその時まで、只、ただ「ナムアミダブツ、ナムアミダブツ…」です。

合掌
                                       

千葉 量寿院
郡嶋泰威

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