今月の法話
平成30年8月
牛に引かれて善光寺参り
新盆(にいぼん)の 佛の好きな 花を選(え)る
(無量子)
八月お盆が巡って来ました。御先祖さまをお迎えする準備が始ります。私の住む信州八ヶ岳麓では、七月の大施餓鬼から新盆を迎える準備をします。山から小木を切り出し、皮をむき、横木を組んで庭先に立てます。横木は軒先の高さに。灯籠を釣るし夕方灯を点します。新盆の御霊(みたま)が迷わぬようにとの願いを込めて。習いゆかしい夕べです。
ところで、お盆(盂蘭盆)の始りは、お母さまが強欲のため餓鬼道に堕ち苦しんでいることを知った目連尊者が、お釈迦さまの教えを受けてお母さまを救った故事にあります。
私達も時には自分の心を眺めて見ることが大事であります。元祖さまは喜足小欲のつつましい貪煩悩は許されますよ、浄土宗で制するところは不喜足大欲の貪煩悩ですよ、とのお示しです。その強欲な貪煩悩の心を解きほぐすのは、お念仏を称えて阿弥陀さまのみ光をいただくことですよ、と。
牛に引かれて善光寺参り
むかし善光寺の近くに不信心で強欲な老婆がいました。ある時晒(さら)しておいた布を牛が角にかけて走ったのを追いとうとう善光寺まで辿り着きました。本堂でウトウトしておる間に、阿弥陀さまのみ光をいただいて、不信心強欲の心が解きほぐされたという事です。私たちはよくよくお念仏を申したいものです。
有難や 六字の糸に しつけられ 心のままに ならぬうれしさ
合掌
長野 功徳院
村上和彦