今月の法話
令和2年11月
み光でいただくご縁
「リモート」という言葉が一般的になってきました。
今まで通っていた職場から離れて自宅で仕事をする。そして、面と向かって話していた者同士が、パソコンやスマホの画面を通じてやりとりする。通信技術の進歩が、一つの感染症を契機として新しい生活を作り上げようとしています。
その中で変わらないことは、私たちの中にある「大切な人とつながっていたい」という気持ちでしょう。ずっと昔から、どれほど時代を経ても変わらないその思いのために、テクノロジーは進歩を遂げます。
一方で、お念仏を申す人たちがずっと昔から培い、感じ取り、大切にしてきたつながりもあります。
「南無阿弥陀仏と称え給えば、住所は隔つといえども源空に親しとす。源空も南無阿弥陀仏と称えたてまつるが故なり」
お念仏を申して阿弥陀さまのみ光に抱かれる者は、たとえ遠くにいても阿弥陀さまをご縁として強く結ばれます。
さらに「願以此功徳 平等施一切」とすべての人にお念仏の功徳を振り向けることを心から願えば、自分と同様にお念仏を悦んでいる誰かもまた、自分のために功徳を振り向けてくれていることを感じられるでしょう。
「大切な人」がすでにこの世にいないとしても、手を合わせ、お念仏を称えれば、私たちの思いがその人へと届き、心が通じます。
そしてそのお念仏が、いつの日かお浄土で再会できるご縁となるのです。
お念仏を申す人は、大切な人たちとどんなに離れていても、決して孤独ではありません。阿弥陀さまのみ光によって、場所も、生死をも超えて、尊いご縁でつながり続けるのです。
大阪 清伝寺
宮川孝明