今月の法話
令和8年1月
「人生の目的」
しばらく前にお檀家さんで、九十歳になるお婆さまが亡くなりました。お葬式の終わりに喪主の長男さんがご挨拶の中で、「うちの母は本当に明るい人でありました。どんなに辛いときも、悲しいときも、いつも母の笑顔に救われました。こんな母を見習って生きていきたいと思います・・・」とお話しくださいました。このご挨拶に感動しつつ思い出したのは、あるときこのお婆さまとの会話のなかで「いつお会いしても明るい笑顔で、本当に有り難いですね、その笑顔の秘訣は何ですか。」とお聞きしたところ、「そりゃあ、いい先祖様にならしてもらわないかんでな―」とのお答えをいただいたことです。
このお婆さまはお念仏の信仰深く、「極楽往生間違いなし」と人生を歩んでおられた方ですが、それと共にもう一つ「いい先祖にならせていただく」という人生の目的をお持ちであったということです。
私達、念仏者にとって極楽往生のうえに聖衆菩薩とならせていただくのは万人の願い(目的)であります。これは本願により既に確約された不変の真理でありますが、ここにもう一つ「よき先祖とならせていただく」という「目的」をもって生きる。つまり、残る家族や友人にとって「よき先祖になりたい」が「目的」となれば、日々の暮らしの中で、自然と「明るく、正しく、仲良い」暮らしぶりを心がける人となりが備わり、往生の後には、いつまでも家族や友人の心にのこるよき先祖とならせていただくことができるのでありましょう。
合掌
岐阜 大雄寺
田中玄恵

