今月の法話

令和7年10月

「十夜法要」

 全国的な記録的猛暑から秋彼岸も過ぎ、岩手盛岡は例年の秋を迎えました。10月はお十夜の季節で、教区内でも多くのご寺院で十夜会(じゅうやえ)が勤められます。

 お十夜法要は今年で530年という長きに渡り受け継がれております。平和と安寧を望まれた時の天皇、後土御門天皇が十夜法要を勅許されました。大本山鎌倉光明寺が始まりとなり、全国の浄土宗寺院に於いて勤められております。

 お十夜の根拠は浄土三部経の一つ『無量寿経』に説かれる「此処において善を修すること十日十夜すれば、他方諸仏の国土において千歳するに勝れたり」に依ります。善を修するの善行とは、法然上人が浄土宗を開宗された承安五年春「余行を捨てて、一向に念佛に帰し給いにけり」(法然上人行状絵図巻六)とあるように、お念仏は私たち凡夫であっても相続できる行であり、皆さんと共にお称えできる行であります。

 当山のお十夜は一日の法要ですが、法話・法要・お斎(昼食)という日程です。平成17年より夕方からの法要とし、本堂内ローソクだけの別時念仏はご詠歌の皆さんや参加された方々がとても感動して下さいました。しかし、庫裏が完成したことにより、6年間のお十夜はまた日中へと戻すことになりました。

 法蔵菩薩が四十八の誓願を成就されて阿弥陀仏となられ、極楽浄土を建てられました。阿弥陀仏という仏に成られたことへの報恩感謝がお十夜の大切なところです。日々の生活の中でもどうぞお念仏にご精進下さい。

岩手 吉祥寺
武田眞和

バックナンバーを見る