今月の法話
令和5年12月
「受容」という慈悲
私は、縁あってある「テレホン相談室」の相談員を務めるようになりました。
相談を受ける際にはどんな方の話にも、とにかく耳を傾けることを心がけています。聞いていて身勝手に思えるような言い分を聞くこともありますが、それでもじっと耳を傾けていると、最初は見えなかった相手の方の事情が見えてくることがあります。そうすると、こちらもより適切な対応ができるようになるのです。また相手の方も存分に話をされることで心を整理し、ご自分で適切な答えを出されることも多々あります。
受け入れられてゆく中に、苦しみから離れる道は開けます。
かくいう私も、実はある方に「相談」に乗っていただいております。
解決に悩む問題に突き当たったような時、私は本堂へ行き、ご本尊の阿弥陀さまの前に座ってお勤めをします。南無阿弥陀仏、どうぞ阿弥陀さまよろしくお願いしますと、すべてをお任せする思いでお念仏を申したら、私の悩みを聞かずとも阿弥陀さまが自ずと察し、受け入れて下さる思いがして、それだけで少しずつ心が楽になり、考えも整理できます。
阿弥陀さまの本願は、人を選ぶことなく、ただ救われたいとお念仏をお称えするすべての人を受け入れ、極楽浄土にお迎えくださるものです。私にとって阿弥陀さまは、お念仏を通して私のすべてを受け入れ、現世も後世も安心させてくださる最高の「相談員」です。
皆さんにも、お仏壇の前に座ってお念仏をお称えする「阿弥陀さま相談室」への相談を是非お勧めしたいと思います。
合掌
大阪 清伝寺
宮川孝明