今月の法話

令和5年1月

「鎌倉殿の13人」を見て

新年あけましておめでとうございます。

 本年令和五年の大河ドラマの主人公は家康公の話です。家康公は知恩院とゆかりのあるお寺で、今年も私は大河ドラマを楽しみにしています。

 大河ドラマといえば昨年は「鎌倉殿の13人」でありました。北条義時を主人公にした鎌倉幕府創建の歴史であります。

 鎌倉、室町、明治時代のドラマは視聴率が取れないと言われてきましたが、今回の「鎌倉殿の13人」は高視聴率です。有名な俳優を起用し、そして三谷幸喜の脚本によるところが大きいでしょう。ホームドラマ的な演出でわかりやすく見られたからと思います。今までは、熾烈な権力闘争と複雑な人間関係で視聴率が得られなかったのではないでしょうか。

 鎌倉の権力を頼朝公亡き後、13人が欲と怒りに燃え、家の繁栄を追い求めて、次から次へと他者を追い落とす様は修羅の道のようでありました。まさに貪(むさぼり)瞋(いかり)痴(おろかさ)の三毒煩悩に迷う様が赤裸々であります。

 この時代の武士にとって「一所懸命」のことわざにあるように土地・財産が全てです。彼らは幕府を創るより、自らの土地財産を守り組織が必要であったようです。その組織の主となれば富と名声が得られることを知り、争いを続けたのではないでしょうか。

 これは昔話と捉えるので無く、現代に生きる私たちにも形を変え、同じ過ちの中に迷っているのではないでしょうか。土地の境界争いはあちこちにありますし、裁判ざたになっている収賄事件も後をたちません。

 法然上人は我々の行いは煩悩具足の身(迷いの身)であるとお示し下さり、この身をお救い下さる仏様は阿弥陀様であると説かれました。

 鎌倉時代は法然上人の在世の時代で、多くの武士と庶民が法然上人の教えに耳を傾け、お念仏を称えました。 現在に生きる私たちも開宗850年を迎え、より一層お念仏を申す身になりたいものです。                   合掌

伊勢 本誓寺
西山霊峰

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