今月の法話

令和6年7月

法然上人 浄土宗開宗の想い

 承安5年(1175年)春、法然上人43歳「たちどころに余行を捨てて、一向に念仏に帰し給いにけり」と法然上人行状絵図に示されており、この年を以て浄土宗開宗とされています。開宗850年御祥当の年を迎え、お念仏のみ教えは多くの人々の心のよりどころとなってまいりました。

 法然上人御法語第二「立教開宗」に 「しかるにわがこの身は、戒行において一戒をもたもたず、禅定において一つもこれをえず。更にここに我等ごときは、すでに戒定恵の三学の器にあらず。この三学のほかに、我が心に相應する法門ありや、我が身に堪える修行やあると」

 自分自身の無智を自覚することが、お念仏の出発点であることを示されております。開宗の御文とされる「一心専念の文」の最後の五文字「順彼仏願故(彼の仏の願に順ずるが故に)」の五文字が念仏一行の根拠と確信されました。阿弥陀仏の来迎を信じ、極楽浄土への往生を願いお念仏で往生は叶うと信じて生涯お称えしてゆくのですよ。法然上人は「ただ一向に念佛すべし」と結ばれ、43歳の開宗から80歳のご往生まで念仏一行の想いに一切のブレがありません。

 私たちが日々お称えするお念仏には850年前の法然上人のお念仏への想いがしっかり受け継がれております。このお念仏のみ教えを実践し、子から孫へとお称えする姿を伝えて欲しいと思います。 怠ることなく勤め励めよ(釈尊最後の言葉)                                 合掌

                                 

岩手 吉祥寺
武田眞和

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