今月の法話
令和6年2月
阿弥陀様のお迎え
法然上人は、「この世でナムアミダブツと申したならば、阿弥陀様が後の世は極楽浄土に往生させて下さいます」と、お念仏の教えをお示し下さいました。その法然上人はご往生される際、「阿弥陀様がお迎えに来られた」とおっしゃいました。
私も阿弥陀様のお迎えに立ち会った事があります。
令和4年11月に母がガンを宣告されました。
「患部を切除したら、また元に戻れる」と思って臨んだ検査の結果、
「もう手の施しようがありません」と宣告されました。
母は震える心の中、
「お念仏の信仰がなかったら、こんな辛い縁には耐えられない。でも、私にはお念仏の信仰があるから。極楽浄土という往き先があるからね。最期は阿弥陀様が迎えに来て下さるもん」と力強く言ってくれました。
半年間、病と向き合って、最期の刻が訪れました。
早朝から昏睡状態でしたが、呼吸は安定していました。
しかし、昼前に突然、大きく息を吸い込んで、その息を吐き出す事はありませんでした。見送った誰もが、涙で泣き崩れる事なく、爽やかな感動さえありました。
母の最期の刻、私には見る事ができませんでしたが、阿弥陀様が母を迎えに来て下さっていたと深く受け取っています。
母は「最期の刻が来たら、『やった!』って思える幸せな人生だった」と語っていました。その人生に区切りをつけて、迎えに来て下さった阿弥陀様に手を引かれて、後の世である極楽浄土へと往生していきました。
お念仏申して生きていれば、最期の刻には阿弥陀様が、迎えに来て下さいます。
共々にお念仏申す中に、幸せ多き事を願いながら、この世の時間を過ごしてまいりましょう。
合掌
兵庫 観音寺
池上善哉