会長法話
2020年東京五輪が決定し、日本国中が歓喜に沸いたのです。7年後のスポーツの祭典に向け、東日本大震災の復興及び福島第1原発の汚染水問題解決を加速させ、夢と希望を持って、日本国民が一丸となり前向きに明るく生きて往くことが出来るのは、まことにめでたく、有難い極みです。
私たちはお互いにその時まで、丈夫で長生きしたいものですが、水をさす訳ではありませんが、仏教では諸行無常を説きます。この先どうなることか分かりません。この世は儚い、何時どんなことでこの命がどうなるかは分からぬのです。だから希望を持って生きると同時に、何があっても動じない覚悟を持っておかねばなりません。
1985年8月12日日航ジャンボ機123便墜落、520名の方々が犠牲となられたが、その中のお一人、川口博次さんは飛行機墜落寸前に家族に宛て遺書を残され、のちに墜落現場から発見された。
『マリコ、津慶、知代子どうか仲よくがんばってママを助けて下さい。パパは本当に残念だ、きっと助かるまい、原因は分からない、今5分たった、もう飛行機には乗りたくない、どうか神様たすけて下さい、きのうみんなと食事したのが最後とは・・・。何か機内で爆発したような形で煙が出て降下しだした、どこえどうなるのか・・・。津慶しっかりたのんだぞ、ママこんな事になるとは残念だ、さようなら、子供達の事をよろしくたのむ、今6時半だ、飛行機はまわり乍ら急に降下中だ、本当に今迄は幸せな人生だったと感謝している』
この遺書がどれだけ、奥さんや子供さん達の心の支えになっているか計り知れません。『お父さんは最後まで、家族の事を思い遣って亡くなっていかれた。だからお父さんの分まで頑張って仲よく生き抜こうね』と・・・。
私たちは河口さんのようにはなかなか出来ません。だから今、この命ある間に家族や縁ある人たちに感謝と思い遣りのことばを残しておきたい、悔いのなきよう遺書をしたためておきたいのです。それが、この先を希望を持って生きると共に、常に死と向きあって生きることです。
そして私たち浄土宗門葉は日々感謝と喜びの心でお念仏をお称えし、いつ臨終が訪れても必ず阿弥陀さまのご来迎を頂くのです。 合掌
合掌