会長法話
有本 亮啓 前会長 第9話
浄土宗日常勤行のおはなし 一、香偈
願我身浄如香炉 願我心如智慧火
念念梵焼戒定香 供養十方三世仏
「願くは、わが身の浄きこと香炉の如くならんことを。願くは、わが心智慧の火の如くならんことを。念念(一念ごと)に、戒(身をつつしむ)と定(心をおちつける)の香をたき、十方三世(すべて)の仏に供養し奉る」
今回よりシリーズで日常勤行のおはなしを致したく思います。このシリーズを通して浄土宗の「おつとめ」を身と心にしっかりと納めて頂ければ嬉しく存じます。
まず最初のお経は香偈(こうげ)といいます。偈とは梵語のガーター(伽陀)で歌のことです。み仏の前に座し香をたくと有り難くて、勿体なくて思わず心が高まり、み仏をたたえ、拝ませて頂くのです。香偈の大意は身と心を清めると云うことです。
さて、つぎにお線香は何本あげたら良いのかをお伝えします。お線香の本数(お焼香の回数も同じ)は一本、二本、三本いずれでも良いと浄土宗ではお教えしていますが、一般には不幸ごとがあった時は一本という習慣があるようです(不幸が重ならぬようにとの意)ので、気になる人は平素はそれと区別する意味で三本または二本にされてもよいでしょう。しかしこれはあくまで習慣ですから、気にならない人は常に一本で結構です。ちなみに拙寺では常によい香りのする最上のお線香を一本ずつあげて毎日のおつとめをしています。
尚、お香(お線香)を薫じるのは、主に三通りの意味がありますので、お心がけ下さい。
一、お香はみ仏さまやご先祖さまの一番の供養です。よってよい香りの香をたいて下さい。
一、お香の煙によって、み仏さまやご先祖さまを送迎する。故にお香は仏の使いといわれるのです。
一、お香には、わが身と心、そしてお部屋をお清めする働きがあるのです。
合掌