会長法話

有本 亮啓 前会長 第11話

浄土宗日常勤行のおはなし   三、四奉請

奉請十方如来入道場散華楽 奉請釈迦如来入道場散華楽
奉請弥陀如来入道場散華楽 奉請観音勢至諸大菩薩入道場散華楽
  

「十方如来を請し奉る道場に入り給え散華楽。釈迦如来を請し奉る道場に入り給え散華楽。
 弥陀如来を請し奉る道場に入り給え散華楽。観音勢至諸大菩薩を請し奉る道場に入り給え散華楽。」
 

初めにお香をたき、身と心を清め仏教信者としての三宝に帰依する儀式(香偈、三宝礼)も終わったので、次にはいよいよこの道場に仏さま方をお迎えするのが奉請です。道場に来て下さいとの  お願いの気持を込めてお唱えします。またこの偈は読み方が漢音で、「奉請」を「ほうぜい」と読むのが特徴です。「ぶじょう」と読む音は、呉音です。音の違いは、お経が中国から日本へ伝わった  時代の違いによるものです。
  尚、ここでは仏さまを如来とお呼びしていますが、如来さまとは真如来現といい、「真如」の如と  「来現」の来をとって、名付けられたもので、真如(真実)より来り現れたお方という意味で、仏さまの別名です。如来さまは宇宙の真実のいのちそのものです。如来さまがおいでにならなかったら、  私たちの存在はないと申してもよいかも知れません。
  その如来さま方を道場(仏教修行の場所)にお迎えするときに華(はな)をまいて、如来さま方とご一緒出来ることを心から楽しむ(喜ぶ)のです。これを散華楽といいます。お寺で大法要の時や施餓鬼等に紙で作った華びらをまくのはそういう意味を表しているのです。
  次に菩薩さまとは仏さまに成られる前のお位(くらい)で、52の位があり、その位をご先祖方は  極楽でお修行をして順々に上がって下さり、53番目に仏さまと成られるのです。これを成仏というのです。東海道53次はこの教えから出来たとも云われています。尚、観音さまや勢至さまそして地蔵さまのような名のある菩薩さまは、すでに仏さまの位につかれたのですが、私たちが頼り無い愚かな人間で有るために、何とかお念仏を申し、この世にありながら、菩薩のはしくれに入れるよう導いてやろうと、態々菩薩の位まで降りて下さって、私たちお念仏申す者のお兄さん役お姉さん役となって親切にご指導下さる方々なのです。
  だから私たちは、この世に生きている内に菩薩の位に入らせて頂きたいものです。その為には  お念仏に精進することが大切です。ボサッとしていたら駄目なのです。

  合掌

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