会長法話

有本 亮啓 前会長 第19話

浄土宗日常勤行のおはなし  十一、三尊礼③

南無至心帰命礼 西方阿弥陀仏
 勢至菩薩難思議 威光普照無辺際 有縁衆生蒙光蝕 増長智慧超三界
 法界傾揺如転蓬 化仏雲集満虚空 普勧有縁常憶念 永絶胞胎証六通願共諸衆生 往生安楽国

③「帰依し、身も心もささげて、西方浄土の阿弥陀さまを拝みたてまつります。
勢至菩薩は私たち愚かな衆生の思議の及ぶとこではなく、その優れたみ光はあまねくどこまでもお照らし下さいます。そして縁のある人々がその光に触れたなら、その人の智慧は大きく増して、迷いの世界から離れ出ることが出来るでしょう。
勢至菩薩がお歩きになり、あらゆる世界が揺れ動くさまは、あたかも風に吹かれて転がる蓬のごとくで、お坐りになると、大地から化仏が雲のごとく集まって空中にみちみちて、あまねく縁のある人々に、常に勢至菩薩を心に思い念じ、迷いの世界に生を受ける境遇を永久に絶ち、六種の妙なる力をさとれよとお勧め下さるのです。
願わくは、多くの方々と共々に阿弥陀さまの極楽浄土に往生出来ますように」
 勢至菩薩さまはお智慧の菩薩さまです。仏教で云う智慧とは一般的な知識とは異なるものです。では、智慧とは何か、それは偏らない心、平等な心、素直な心を持つことです。
 こんな文句があります「娘みる目は糸より細く、嫁みる目は蚤(のみ)とり眼(まなこ)」
わが娘とわが家の娘が同じくらいの年頃としますと、娘のすることは常に良いことと目を細めて見るが、同じことをしても嫁のすることは逆に蚤をとるような目で粗(あら)捜しをしてしまうという意です。そんな偏った心ではなく、娘の悪いところは素直にみつめ、嫁の良いところは素直に認める大きな心を養って行けば、常にみんなの幸せを願う心となるのではと思います。そんな尊い心へとお導き下さるのが、勢至菩薩さまなのです。

  合掌

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