会長法話
有本 亮啓 前会長 第28話
浄土宗日常勤行のおはなし 二十、 送仏偈 十念
請仏随縁還本国 普散香華心送仏
願仏慈心遙護念 同生相勧尽須来
「仏縁に随って本国に帰り給はんことを請う、普ねく香華を散じて心に仏を送りたてまつる、願わくは仏慈心をもって遥かに護念したまえ、同生も相勧めて尽く、須らく、来るべし」
はじめにお迎えしましたみ仏さま方、どうぞ夫々のご縁に随って本国にお帰り下さい。み仏さま方のお帰りにあたり、お香をたき、お華を散じて、心をこめて、お送り申し上げます。み仏さま方よ、本国にお帰りになりましても、お慈悲を垂れて、遥かに私どもをお守り下さい。又、すでに極楽に往生されている多くの先輩方(ご先祖さま方)も仏さま方と共に相勧めて(誘って)、尽く来たりてお守り下さい。
これで、「おつとめ」が一通り終わりましたので、今まで道場(部屋)にご来臨を賜っていた阿弥陀さまをはじめ多くのみ仏さま方にお帰り頂く時が参りました。普通のご家庭でも、お招きしたお客さまがお帰りになる時は玄関や門までお送りし、感謝、あるいは惜別の念をこめた挨拶の言葉を交わして別れるのが礼儀であります。ましてやみ仏さま方の場合は尚更の事であります。それで、この偈文をお称えして、恭しく真心こめてお送り申し上げるのです。そして十念で終りとなるのです。
今回で二十八回に渡って連載して参りました私の会長法話は終了です。皆さん、人生には必ず出会いと別れがあります。しかし、お念仏者には別れの後に浄土での再会が待っているのです。法然上人は「浄土の再会甚だ近きにあり、今の別れは暫くの悲しみ、春の夜の夢の如し・・・・」とお教え下さっています。三年間本当に有難うございました。
南無阿弥陀仏 合掌