会長法話

中村 晃和 前会長 第20話

「お盆のいわれ」

 お盆は、「盂蘭盆経」にある説話から来ています。
 これによりますと、餓鬼道(飢え渇く苦しみの世界)におちて、水や植物が炎と化して食べられずに苦しんでいる母親の姿を、お釈迦様の弟子の木蓮(もくれん)尊者(そんじゃ)が見られて、大いに悲しまれました。
 そこで、自分ではどうすることもできない木蓮尊者は、お釈迦様に母親を救う道をたずねられたのです。
 お釈迦様は木蓮尊者にいわれました。
 「あなたの母は、あなたをかわいがりすぎるあまり、お他人にはやさしくしなかった。そのむさぼりの心によって餓鬼道に落ちてしまったのです。母親を救うには、【百味(ひゃくみ)の飲食(おんじき)】(たくさんの食べ物)を供え、多くの僧侶に、供養すればその功徳によって救われるでしょう」と教えられたのです。
 それを聞いた木蓮尊者は、教えの通り供養して母親を救うことができたのです。
 これが、のちにお盆の先祖供養となったのです。

「お盆のこころえ」

私たちは、お盆が近づいて来ますと亡き人を思い出したり、なつかしく身近に感じたりすることがあります。その亡き人びとの苦しみを、取り除いてあげるのがお盆の供養なのです。
 お盆は、それぞれ土地柄や家の習慣によって、供養の仕方が異なりますが、日常生活の自己反省をし、先祖に対して感謝の「まこと」をささげ、普段同様お仏壇、お墓をきれいに掃除し、燈明・花・香・供物を献げて、亡き方の霊を迎えていただきたいものです。そして、仏前・墓前においては、家族そろって合掌・礼拝する習慣を身につけましょう。

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