会長法話
これより西方十万億の 佛土を過ぎて世界あり 名づけて極楽という
お釈迦様は標題のごとく阿弥陀経の中で、これより西方十万億土を過ぎた所に世界があって、その世界を西方極楽浄土(彼岸)というのだとお説き下さっています。
東大寺の大仏様が座しておられるお蓮台は、十万億土を表しているのだと言われています。
奈良女子大学の岡潔先生は、京都大学始まって以来右に出る人がいないといわれる程の大数学者で、尊いお念仏の信者でもありました。その先生がおっしゃるには、十万億土というのはまだ科学や数学の通用する世界でありますが、その上に座しておられる大仏様の世界はどんなに進んだ化学や数学をもってしても通用しない世界を表現しているのだと教えられました。
同じように阿弥陀如来のまします西方極楽浄土は、科学や数学でわかる世界ではありませんし、我々の住む次元とは異にする高次元界の世界なのであります。
極楽浄土は、人間の知恵の届かない不可思議なる世界であります。
不可思議とは一般に不思議という言葉で使われていますが、人間の知恵をもってしては思い測ることができないということです。私達の願うべき極楽浄土はまさに不可思議の境涯であります。
人間の知恵の届かない不可思議な世界だからといって架空の世界というわけではなく、実在する世界であります。
極楽浄土の世界をご体験されたのがお釈迦様であり、体験されたところを「我れこの利(事実)を見るが故にこの言を説く」。私はたしかに体験したから、この「阿弥陀経」を説くとおおせになっておられるのです。
私達には容易に体験することも拝むこともできませんが、善導大師様や法然上人もご体験なされて間違いないぞとおっしゃって下さっているのです。
だから私達はお釈迦様・善導大師・法然上人のご体験を頼りとして西方極楽浄土に思いをはせて、お念仏にはげませていただきたいものです。
合掌