今月の法話
平成18年5月
母の日にあたり
胎児は、臍(へそ)の緒を通じて、お母さんから、水と酸素と栄養とカルシウムを貰って大きくなります。
カルシウムについては、母の歯や骨をホルモンで溶か して胎児の骨となるのだそうです。
即ち、母は、自分の体を削って我が子に与えているのです。
その行為は、観世音菩薩にも似た尊い布施行なのです。
だから、子供にとって、五月の第二日曜日だけが「母の日」ではなく、一年三百六十五日が「母の日」に相当すると思います。
一方、昨今の世相を見ますと、母親が我が子を折檻(せっかん)して死なすような悲劇な事件が多く見られます。
母親は、我が子が胎児の時に、尊い行いをさせてもらったと自覚すべきでしょう。
自分の力で、自分の甲斐性(かいしょう)で産んだのではなく、縁あって仏の子を授かったのだと思わなくてはなりません。
預かり物の仏の子なのです。
そうであってこそ、「母の日」が生きてくるのです。
意義深い、尊い一日にしたいものです。
合掌
富山 医王寺
泉清孝