今月の法話

平成18年4月

 御忌の月、四月になりました。春の盛り、本当にすがすがしい季節です。
御忌とは浄土宗の元祖法然上人をたたえる大法要で、総本山知恩院では十八日から二十五日まで、全国から檀信徒の方々が集まり、盛大に行われます。
皆様もぜひこの時期に総本山へお参り下さい。
さて、月が変わり五月の十五日は、京都の三大祭の一つ「葵祭り」です。
上賀茂神社と下鴨神社の例祭で、正式には「賀茂祭」というのですが、この祭りの見どころである古式ゆかしい行列に参加する人々の冠や、牛車などに、そして家々の軒先に賀茂葵(ふたばあおい)を飾るところから、葵祭りと呼び親しんでいます。
われはただ ほとけにいつか あふひぐさ こころのつまに かけぬ日ぞなき  
法然上人がお詠みになられた夏のお歌です。
仏様に「会う」ことと葵祭りの「葵」、心の端(つま)と家の軒(つま)とを掛詞にして詠まれています。
お念仏を称えれば極楽往生が約束されます。いつか親しく阿弥陀様を始め多くの仏様にお浄土で会うことができる。
そう信じたとき、今現在も心の中にいつも仏さまがいらっしゃると思えるようになるのです。
これが安心(あんじん)です。
以前、安心とは心の中に仏様が安置されたことだと思いなさいと教わりました。

ののさまは  口ではなんにもいわないが  あなたのしたこと  知っている  知っている
仏教機の幼稚園・保育園で歌うお歌です。
ののさまはいつでも心の中からわたしたちを見ています。
誰も見ていないからと悪い事をしたり悪い心を持つと、ののさまが悲しまれます。
また誰にも知られなくても、良い事をしたり良い心を持つとののさまは喜ばれます。
こう子供たちに教えるのです。
お念仏の功徳により阿弥陀様はいつも近くにいてくださり(近縁)親しく見ていてくださり(親縁)罪深い身を浄め、護ってくださる(増上縁)のです。
阿弥陀様が喜んでくださるような人生を歩みましょう。

合掌

東京 念佛院
中野隆英

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