今月の法話

平成18年7月

人中の分陀利華

 夏のおとずれと共にきれいな蓮の花が咲き、その清らかな美しさは、私たちをお浄土へと、いざなって下さるような心持ちがします。
『観無量寿経』には、「若し念仏する者は当に知るべし、此の人はこれ人中の分陀利華なり」とあります。分陀利華とは白蓮華のことで、極楽の宝池には他の蓮華と共に分陀利華が美しく咲き乱れていると説かれています。

私たちの生活している社会は、うそ偽りが横行し、争いが絶えず、悪事が平然と行われる戯れた世界であり、そこに生きていく私たちの心の中には、むさぼり、いかり、おろかさといった煩悩があるがゆえに、苦しみ悩んで右往左往の生活をしています。

白蓮華が泥の中にあって、しかもその泥に汚されず真っ白な美しい花を咲かせるように、私たちも戯れた社会にそまることなく、お念仏を称えて分陀利華のごとく、かぐわしい香りをあたりにただよわせるような、すばらしい人生を送りたいものです。

合掌

京都 直指庵
小田芳隆

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