今月の法話

平成20年4月

念仏を称え、恨みを超えて世界平和を実現しましょう。

 春爛漫の待ちに待った花の季節、希望の季節が到来しました。長い寒い冬から、すべての植物の新芽が芽吹き、生命の鮮やかな活動の始まりです。その芽吹きを一時に開花させる代表が桜です。全国の桜の開花時期がテレビで報じられます。

 このような華やかな時期に、浄土宗総本山知恩院では、来る四月十八日から二十五日まで、晨朝(午前)、日中、逮夜(午後)と一日三回の法要を八日間行います。
 この法要は、元祖法然上人様がお亡くなりになった日を期して、上人の遺徳を偲んで行われる知恩院最大の忌日大法要で、特にこの法要を「御忌大会」と呼んでおります。

 「御忌」という言葉は、天皇や皇后の忌日法要を指しておりましたが、大永四年(1524年)当時の天皇、後柏原天皇よりF知恩院にて法然上人の御忌を勤めよ」との「大永の鳳紹」が出され、これより法然上人の忌日法要を御忌」と呼ぶことになりました。

 当初は一月に勤められておりましたが、明治十年より四月に勤められるようになりました。(知恩院ホームページより転載)

 全国からの御寺院、檀信徒が毎日、何百人、何千人と参集し、八百年前の古式豊かな法式そのままの伝統で、法然上人がまつられてある御影堂で行われる口称念仏の大法要は、まさに日本仏教の宗教的昇華を示すに足る、大法要であります、

 法然上人は九歳の時お父様が夜討ちに遭って、瀕死の重傷を負います。もう助からないと思ったお父様は九歳の我が子を呼び寄せて、決して仇討ちをしてはならぬ、おまえが仇討ちをすれば、仇討ちされた親の子が、今度はおまえを親の仇としてねらうことになる、恨みは恨みを呼んで、決して治まることはない。そのようなことはしないで、どうか私の霊を弔うために出家し、そのような恨みを捨てて人間みんな助け合い許し合って、平和な社会を生きられるように、お釈迦様の教えを学んで欲しいと、教え諭し、命絶えたのです。

 法然上人様はこの父の遺言を堅く守り、一心に仏道修行にお励みなり、八万四千のお釈迦様の教えの中から、恨みを乗り越えて、人間許し合い、助け合えるお釈迦様の教え、むさぽり、ねたみ、怒りの心を取り去っていただける阿弥陀様のお念仏に到着し、南無阿弥陀仏のお念仏のお助けを、声高らかに選び取られたのであります。

 世界では今なお五十ヵ所以上で、戦争が行われていると言われております。それはみんな恨みが原因であります。その原因の一つが宗教の違いによるとも言われております。

 宗教の根本は許し合いにあります。そのことを法然様はお念仏を通して、実行なさいました。御忌を通じ、法然様の御心、怨念を捨てさせていただけるお念仏を一声でも多く称えて、世界平和の実現に邁進致しましょう。

合掌十念    

宮城 浄念寺
高橋清海

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