今月の法話
平成21年9月
宗歌「月かげ」
『月影のいたらぬ里はなけれども ながむる人の心にぞすむ』
法然上人のお歌であり、浄土宗の宗歌です。月影とは月の光、すなわち阿弥陀如来のお慈悲のみ光です。このみ光はあまねく一切の人々をお照らし下さるが、その光をながめなければ、お慈悲に気づくことが出来ないのです。阿弥陀様はすべての人々をお救い下さるが、そのお救いを願わず、喜ばず、お慈悲に背をむけるものは、如何ともしがたいのです。
親は常に子を守り、育て、救うとの願いをかけて下さっている、その願いに気づき、親を頼れば、親は子を救って下さるのです。たとえば、子が川で溺れている時「お母ちゃんお父ちゃん」と親の名を呼んだら、それを聞いた親は必ずや命を捨てても子を救うのです。それが阿弥陀様と私達との間にも云えるのです。
阿弥陀様は「わが名を呼べよ、必ず救うぞ」とお誓い下さり。「お願いだから救わせてくれ」と願いを掛けて下さっておるのです。その阿弥陀様の誓願(ご本願)に応えて、南無阿弥陀仏とお念仏をお称えすれば必ずや、苦しみ、迷い、悩み多き現世から喜び、楽しみ、幸せの世界すなわち極楽浄土へと阿弥陀様がお救い下さるのです。そう信じて、ただ一向に念仏もうすのみです。
合掌
大阪 大鏡寺
有本亮啓