今月の法話
平成28年5月
あらゆる人にやさしい教え
近頃の国際情勢で、昨年の秋から今年にかけて欧州を襲ったイスラム過激派のテロ事件は国際社会に大きな衝撃をもたらしました。 わが国に於いては今月、伊勢志摩サミットが開催されるためテロ対策を強化しなければなりません。こうした国際情勢が不安定な中、内政面では少子高齢化の深刻化により、健康と生活の不安が生活満足度低迷の要因であります。いかにすれば幸福度が増すか?
宗教が人の幸福度を高めるといわれております。信仰心を持つこと、宗教団体に所属すること、また教えや儀礼によって不安が和らげられて救いを信じることで現実をそのまま受け入れられるようになります。佛教を開かれたお釈迦様は、この世のありさまは全て苦しみである。四苦の人生である、とお示し下さいました。四苦とは生老病死です。一つめは生苦―生まれてくる苦しみ。二つめは老苦―老いる苦しみ。三つめは病苦―病による苦しみ。四つめは死苦―死ぬ苦しみ。
この四苦の人生を生き抜いていくためにはどうしたらいいのか、という事を法然上人も悩みに悩まれました。そして、たどり着いた教えがお念佛だったのです。阿弥陀様はなかなか修行の積めない私たちに代わって永い間ご修行下さり、その大きな功徳をすべて南無阿弥陀佛のお念佛に込めて下さったのです。そのお念佛を申すことは容易であります。お念佛を申すだけで、あらゆる人を一人も漏らさず、極楽浄土へ迎え取って下さるのです。お念佛の生活で、この世では阿弥陀様のお護り、お導き頂き、命終の時には必ず極楽浄土が叶うのです。あらゆる人にやさしい教え、それはお念佛であります。
合 掌
京都 三縁寺
勝田良樹