今月の法話
平成31年1月
影の如くに添いて
昨年も自然災害や事件が数多くございました。重苦しさを感じながら迎えた年の暮れに、恒例の流行語大賞の発表がありました。
「そだね-」
ピョンチャン冬季オリンピック・女子カーリングで、試合中に選手同士が交わし合った言葉です。勝利に向かって顔をつきあわせ寄り合い、確認し合った言葉。そして見事銅メダルを獲得。膝すりあわせ試合の合間に栄養補給、「もぐもぐタイム」もノミネートでした。そのシーンを思い出しながら爽やかな気持ちになれたのは、私だけではなかったと思います。
合唱日本一をかけたNHK全国学校音楽コンクールへ向け、部活に励む生徒達を取り上げたTV番組の中、一年前の出来事を回想する生徒のシーンがありました。共に汗を流し辛い練習を重ねて迎えたメンバーの発表の日。自分の名前が呼ばれるのを祈るも、最後の一人にも呼ばれることはありませんでした。顔を伏せた生徒を無言で教室の外に連れ出し、何も言わずにただ黙って身体を寄せてくれた友達。その友達はメンバーに選考された生徒でした。「ただ黙って寄り添ってくれた、あの時を一生忘れることはない。」と語った。その友達のためにも一年間ひたすら練習に励み、今度こそ一緒にメンバーとして大会に参加することができたのでありました。
私のすぐ近くに、身体を寄せて居てくれる安心感、安堵感。ひとりではない安心の中にいつも居たいものです。
法然上人さまは、「心からお念仏申す人には阿弥陀さまをはじめ、あらゆる世界の菩薩さまが昼夜を問わず、影のように寄り添ってくださいますよ。」とお示しであります。
いよいよ平成の時代から次の時代へと扉を開く年。周りの方々と心を通わせ寄り添いながら、お念仏の中に阿弥陀さまとともに生活してまいりましょう。
合掌
山形 専念寺
佐藤康正