今月の法話
令和2年7月
まことの心
夏も盛りを迎え、セミが盛んに鳴くころとなりましたが、今年は、どこか元気なく聞こえます。祇園会のお囃子も、高校球児の歓声も耳にできず、新型コロナウイルスのせいで、出かけることの少ない、さみしい夏になりました。長い間、自宅で自粛が求められる中、家庭ゴミの量が例年より増えています。すると、感染リスクを伴う、収集する作業員の負担は増大します。
先月、東京都のある地区で、ゴミ袋に手紙が貼り付けてありました。
そこには、
「大変な時に、ゴミの収集ありがとうございます。私たちもゴミを増やさないように工夫しますから、体に気をつけて頑張ってください」
作業員を気づかう、感謝のまこと心が、文面にちりばめてありました。
丁寧に袋から持ち帰り、作業員の休憩室に貼られた手紙は、150通にも及びます。
「皆さんの手紙に励まされます。温かい気持ちにふれて、元気が出ます」と、喜ばれました。
「往生は 世にやすけれど みな人の まことの心なくてこそせね」(法然上人)
人間同士は、心のふれあいが大事なように、み仏さまへは、まこと心でお念仏を称えることが大切だと、法然さまは諭されています。お念仏によって、極楽往生という極善最上の導き方をなさる阿弥陀仏さまに、すがり、頼み、まかせるのです。
いえ、何も難しいことはありません。
「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」と、お念仏称える中に、まことの心が宿るのです。お念仏で、禍いと暑さを乗り越えましょう。
合掌
京都 大善寺
羽田龍也