今月の法話

令和2年8月

コロナ禍の中で

令和2年も残すところあと4か月程となりました。今年は新型コロナウイルスにより、人類が克服したはずであった感染症の脅威に翻弄され、世界中が不安の中に叩き落される年となりました。それは、未知のウイルスによって命の危機が自分の身近に迫り、富や権力、科学などでは解決できないことがある、という事実をあらためて私たちが気付くきっかけともなりました。

先が見え無い中で、不安な日々を送っておられる方も多いと思います。しかし、どうか不安に飲み込まれないでください。今よりもはるかに命の危機にさいなまれていた戦乱の時代にあって、法然上人はこんなお言葉をお残しくださいました。

〝生けらば念仏の功積り、死ならば浄土に参りなん。とてもかくても、此の身には、思い煩うことぞ無し〟

つまり、「生きている間はお念仏を称える中に、求めずのとも阿弥陀さまが守ってくださる。たとえ命が尽きたとしても、お浄土に参らせていただくことが出来る。」とお説きくださったのです。どうぞ此のお言葉を信じ、阿弥陀さまを心の拠り所としていただき、お念仏を心の支えとしてお過ごしください。

「眼にふれて見え給わねど身に沿いて

守り給える弥陀の尊さ」

新型コロナウイルスの脅威は長引くことが予想されています。これから先も暫くは不安が尽きることは無いかもしれません。しかし、お念仏を称える中で、阿弥陀さまを心の拠り所として、共々に心安らかに過ごしていくことを、私は願ってやみません。

合掌

京都 安養寺
喜早信定

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