今月の法話
令和8年8月
桜散り、蓮は沈んで、人は往く
梅雨が明け、暑い日本の夏がやってきました。ご先祖さまをお迎えする「お盆」を迎えます。「お盆」を飾る花といえば蓮ですね。蓮の花は「お盆」、そして仏さまに一番ゆかりのある花と言えましょう。
さて花の散り方(終わりのすがた)には、色々な言い方があります。たとえば桜の花の終わりは「散る」、梅は「こぼれる」と言います。さらに椿は「落ちる」大輪の花を開かせる牡丹は、「くずれる」、お盆の花、蓮は「沈む」といいます。蓮池に花の弁を沈ませていく蓮の様子が目に浮かんできますね。さて、ここで一問。 「桜散る、梅はこぼれる、蓮は沈む。では人は何という?」
私はこの問いに、以前は迷わず「死ぬ」と答えました。一方、仏教で説かれるのは「往く」と示されます。「往く」というのは、お浄土に「往き生まれる」ことをあらわす「往生」からきています。どこへ行くかといえば、阿弥陀さまの極楽浄土に「往く」のです。
あるとき体調をくずされて、ふさぎ込んでおられたお檀家の女性が、この話を聞き喜々とした顔で私の所に来られました。「和尚さん、わたしたちは死ぬのではなく往くのだというお話を聞いて、希望の光が見えました。有り難うございました」と言われたのです。
私たちは、「お念仏を称えるならば必ず往生することを得る」という教えをいただいています。往生を願う者は、希望の光を得ることができると、その女性は受け止めてくださいました。「人は往く」という言葉は何とありがたいことでしょうか。
滋賀 真徳寺
谷口信之

