今月の法話
お念仏の故郷、総本山知恩院の庭に、綺麗な蓮の花が咲く季節になりました。
その蓮の華の句に、『一蝶を 放ちて蓮華 浄土かな』と、蓮華の花に蝶々が舞う姿を見られた方が、『まるで極楽の様子を移しどったような光景だなと』と心をお浄土と通わせているのです。
この心は、法然上人が私達にお教えいただいていて、御詠歌の中に、
「極楽も かくやあるらむ あらたのし
とくまいらばや 南無阿弥陀仏」
と歌われ、「常にお念佛を申していると、この世の素晴らしい景色を見るにつけ、阿弥陀様の極楽も、この様に素晴らしいのであろうと心を通わし、極楽浄土に往生(生まれたい)したいと願うのです。南無阿弥陀仏」と申されています。
さて、このような心に成られた私の友人の和尚様がおられ、その方は、なんと臨死体験(心臓が止まり、生き返ってくる間に体験する)で阿弥陀様と出会われたのでした。
それは、その和尚さんが末期ガンで危篤状態の時に二度心臓が止まり、臨死体験をした時のことで、一回目は、気が付くと閻魔様の前で座っておられ、和尚さんは、「閻魔さん、わし坊さんやから、行くとこ、お浄土に決まっとる。」と言うと、閻魔様は、厚い閻魔帳をだされ、ペラペラと開かれて、「本当に、おなたはお坊さんやな。まだ来るのは早い。よし帰れ」と言われたのでこの世に戻ってきたそうです。
そして、二回目は、気が付くと、仏様が目の前に現れ、「もう楽になったらどうや」と言われたのでした。
(末期ガンの治療は副作用があったりして、すごく辛いのでお慈悲の心でこう言われたのです。) しかし、和尚さんは、「まだやらんとあかん(しなければいけない)ことがあるので、帰ってくれ」と、阪神淡路大震災で壊れたお寺を再建するから言うと、「よしわかった」と帰って行かれたそうです。 その仏様は、「どっかで見たことあるな」と思っていたら、なんと毎日お寺で拝んでいる本尊さんでした。
このように私達は、毎日お念佛を申し、極楽を写し取った本堂やお仏壇で、阿弥陀様を拝み、御仏様と
心を通わせる事が出来、私たちが最後の臨終の時は、阿弥陀様は必ずお迎えに来られるのです。
ある方が、
「ただ頼め、この世の事も後の世も、もらさで救う 弥陀の誓いを」
と詠われているように、苦しみに出会うこの世でも、また私達が必ず迎える次の世への旅立ちの時でも、ただ阿弥陀さまに任せ、御念仏を申す生活をすると、花を見ると「極楽もこのような美しい花咲いてるな」と、見るに付け、聞くに付け、心を阿弥陀さまや極楽浄土に通わせる事が出来、阿弥陀さまの私達を必ず迎かい取るというお誓いを素直に信じ任せる事が出来るのです。
これからも、皆様と共に御念仏を申す信仰生活を共に致しましょう。
合掌十念
大阪 法善寺
神田眞晃