今月の法話

平成14年4月

四月七日は浄土宗を開かれた法然上人、そして八日はお釈迦さまのお誕生日です。

浄土宗総本山知恩院は、山号を華頂山と云いますが、その名のように桜や多くの花につつまれる、四月十八日から二十五日まで、法然上人の恩徳を讃える御忌法要が修行されますので、ぜひこの機会にご参詣して下さい。

ところで法然上人は、ご法語の中で、「念仏は弥陀にも、利生の本願、釈迦にも出世の本懐なり。」と申されています。

このご法語は、お釈迦さまがこの世にあらわれた本当の理由は、すべての人々を救うことにあったのだから、すべての人々が実践できる阿弥陀さまの大慈悲心の結晶である。
ご本願、つまりお念仏の教えを説くことにあったのです。
他のさまざまな教えも尊いが、すべての人々が 実践できるのが、ただ一つお念仏の教えです。
という法然上人のお立場を述べられたものです。

そこで私たちは、まず阿弥陀さまとお釈迦 さまをどのように受け取ったらよいのでしょう。

阿弥陀さまは、万人を救おうという大慈悲心の発露であるご本願、念仏の救いをたてられ、現在も西方極楽世界にて 「わが名を呼べ、必ず救わん」と、手をさしのべられている今現在説法の仏です。
ですから実際に私達を救っていただける仏でありますので、大悲願王阿弥陀如 来と申します。

また、お釈迦さまは、二千五百年前、インドに出現され、大悟して仏となりました。
それより悟られたことを多くの人に伝える伝導生活をされましたが、その記録が膨大なお経です。
その中に万人救済の道として、阿弥陀さまの本願念仏の教えを説かれました。

法然上人は、この一切経の中から特に阿弥陀さまのご本願を説かれた『浄土三部経』を通して、お釈迦さまがこの世に現われた本当の理由は、お念仏の教えを伝えるためであると領解されたのであります。

つまり、お釈迦さまは阿弥陀さまの本願念仏の救いを私たちに伝えてくれた先生でありますので、大恩教主釈迦牟尼如来と申します。

阿弥陀さまの心はお釈迦さまの心であります。
また、お釈迦さまの心をそのままいただいたのが法然上人です。
ここに、弥陀・釈迦二尊のお念仏の教えが、法然上人を通して私に伝えられることになったのです。

四月は特にお釈迦さま、法然上人のお誕生の月であります。
それぞれの聖日を迎え、その恩徳に感謝し、日々お念仏の修養につとめてまいりましょう。

山形 稱念寺
井澤隆明

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