今月の法話

平成14年6月

喜足の心

大河ドラマにて、「まつ」の『わたくしにおまかせくださいませ』という言葉、大変心強く感じます。

「利家とまつ」夫婦に十人の子があり、利家と側室との間に七人の子がありました。
まつは十七人の母親として平等に、いつくしみ愛しています。

又、親族、家臣に対しても、我が子と同じような心で接していたようです。

戦国時代は、親子で殺しあい、兄弟で殺しあい、家来が主人を殺す。
こんな暗い時代、人を心から安心して信じること ができなかった時代でしたが、利家とまつは子供、親族、家来と争うことを慎み、深い信頼関係を築く事によって“和”を作ることに成功したといってもよいで しょう。
深い信頼関係が、江戸幕府の厳しい目の中でも、前田家が生き残り続ける柱となっています。

深く信頼される人とは、「まつ」のように、いざというとき、困ったなぁというときに、頼りになる人。
暖かく包み込んで安心できる人ではないでしょうか。

いざというとき、「まつ」がいると安心できる。いなかったらさあ大変。

天気予報で降水確率五十%、突然雨が降ってきました。
傘を持っていない人は、ずぶ濡れです。
念のため傘を持って家を出た人は、アア良かった傘を持ってきたので濡れずにすみました。

信仰心のある人は、心に傘を持っている人です。

「困った、どうしよう」と迷っている私たちを暖かく、正しい方へ導いてくださる仏様のお名前を、阿弥陀仏(アミダブツ)と申します。

私たちが○○さんと親しい方の名前を呼ぶように、阿弥陀仏の名前を呼んでみてください。
あなたの安心できるお友達(親友)、今日までながいおつき合いで、お互い呼び合うことで安心できる仲になったと思います。

阿弥陀仏の名前を呼ぶことは、“ナムアミダブツ”と声に出して呼びかけることです。

阿弥陀仏の『わたくしにおまかせくださりませ』のお言葉に対して、『であるか』と“ナムアミダブツ”と呼び続けてまいりましょう。

石川 大蓮寺
高島訓堂

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