今月の法話
御念仏の故郷、総本山知恩院にも綺麗に紅葉が色づく季節になりました。
この紅葉も、自然の恵みにより色づいて来るのです。
叉、私達も同じように、御念仏のお救いのお光り、光明に照らされ素晴らしい仏様の心に色づいてくるのです。
そのことを元祖法然上人は御詠歌にされ、『あみだ佛に そむる心のいろにいては あきのこすゑの たくいならまし』とお詠みに成られたのでした。
さて、皆様はまだまだ先のことでしょうが、夫婦一緒にお墓に入りたいと思われたことがありますか。
ある川柳に『冷えた中 何分チンすりゃ 戻れるの?』とあり、夫婦仲の悪い方もおられ、最後には『あの人とは、お墓には、一緒に入りたくない』と言われるのです。
それは私が、先日タクシ-に乗った時、運転手さんより、「和尚さんですか」と言われ、「そうです。線香の臭いでもしますかな」と冗談を言ったときに相談を持ち込まれたのです。
それは、その人の両親の仲が悪く、お父さんが亡くなられた時でも、お母さんは、葬式にも出ず、『一緒に納骨しないで』と言われ、どうすれば好いか相談されたのです。その時私は、その方のお母さんが、愚痴の迷い心だなと思い『たとえお墓が別々にしても、お念仏申すと、必ず極楽に往生されるので、
極楽で再び会うことになるのです。
それを「くえいっしょ倶会一処」と言うのです。
叉、極楽に生まれた方は、阿弥陀様のお救いのお光りに触れ、優しい方に成られるのです。
そのことを、お母さんにお伝えください。』と言ったのでした。
もちろん、このお母さんは、すぐには心が開かないと思いますが、いつかはお念佛の縁により分かって頂けると思います。
つまり、『渋柿が 甘柿となる寒さかな』と、渋柿が、自然の恵みによって、知らない間に甘柿に変えさせていただくように、私たちも、最初は人からも嫌われる渋柿だったかも知れませんが、お念仏を申すことにより阿弥陀様のお力・お導きにより、悪い心は押さえられ、優しい・好かれる・素晴らしい人に近づかせて頂けるのです。
そして、ある句に『愛いとし妻 離れたくない 墓場まで』とありますように、ご夫婦が、御念仏を申すことにより、この世も後の世も、仲のよいご夫婦になられること間違いなしです。
大阪 法善寺
神田眞晃