今月の法話
平成16年5月
知恩院では毎朝、「おあさじ」というおつとめがございます。
そのときに元祖大師御法語というのを拝読します。
31章からなり、その日の章を読むのであります。
私も学生の時に4年間「おあさじ」にご縁をいただきました。
最初は訳もわからずに拝読していたのですが、ある日11章に出てくる「往生ハ不定トオモエバヤガテ不定ナリ、一定トオモエバ一定スル事ニテ候フナリ」というところに目が止まりました。
仏教とは深遠難解な教えで、目標は遥か彼方にあるものと思っていたのに、我が心の決め方次第で往生が定まるとは、心の中の電球がピカッと点灯したような思い出があります。
智慧を極めて、戒律をまもり、修行が成就されて届くものなれば、この私には到底届きようのないものですが、自らを「愚痴の法然房」と申され、「智慧第一」と称讃されたにもかかわらず、悟りの道を捨て、救いの道を求められたことにより、百人が中に百人が救われていく道が、開かれたのであります。
これからの季節は、知恩院の「おあさじ」が最もすがすがしく、心地よくおつとめできる時であります。
お近くの方は少し早起きをしておのぼりいただければ、心に無量の宝物を得たような法悦が沸いてくることでしょう。
おつとめが終わりましたら、一週間交代で輪番布教師さんの法話も年中ございます。
遠方のお方は和順会館にご宿泊いただければ、おあさじにご案内いたしております。
機会がございましたらご縁をお結びください。
ただ頼め よろずの罪は 深くとも わが本願の あらん限りは
和歌山 来迎寺
榎本了示