今月の法話

平成17年4月

四月は総本山知恩院様で「御忌法要」が開筵されます。法然上人の御遺徳を偲び、報恩感謝の誠を捧げ、全国から檀信徒様がご参集くださり盛大に執り行われます。
法然上人御在世の時代、仏教は貴族、武家、学者の為の教えであり、一般庶民には縁の無い事でありました。仏の教えは一部の人だけのものであり、規律ある生活をして精神を統一し真理を求めるもので
ありました。
法然上人も修行されましたが、誰でもが救われる道はないものかと苦慮され「わが心に相応する法門ありや。
我が身に堪えたる修行やあるや」と難行苦行の末、阿弥陀様の本願である「念仏往生」の教えを選び取られたのであります。
罪悪凡夫の身が救われていく教えであります。阿弥陀様が「我が名を呼ぶもの必ず救う」と誓われ、極楽に生まれたいと真実の心でお念仏を申せば、阿弥陀様の慈悲で誰もが救われていく教えであります。
上人の教えは万民の方に受け入れられ広まっていきました。
上人の教えにより苦しみから救われた方々の報恩が波紋のように広がり、念仏往生の根本道場にふさわしい大伽藍の寺院となりました。
ひとえに上人の念仏弘通のお陰であります。
大伽藍の殆どが国宝、重要文化財と指定されています。
これらの伽藍は浄土宗だけのものでなく、日本国民の大切な財産であります。
荘厳な姿であるのもご先祖様が「念仏往生」の教えを信じ受け継いでこられたからこそであります。
今ある私もご先祖様から受け継いでいます。
この様に念仏が今も生きているのであります。
法然上人は「念仏の声するところ我が遺蹟なり」と申されております。
皆様がお念仏申されているその場所がそのまま遺跡です。
知恩院様のこの立派な伽藍は念仏する方々の心の故郷であります。
故郷の為にも上人の遺徳を偲び、ご先祖様のお陰を偲び阿弥陀様を信じてお念仏の日暮をして下さい。
明日はきっと幸せな日になるでしょう。

南無阿弥陀仏 合掌

大阪 提法寺
小林忠和

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