今月の法話
平成18年2月
暦の上では春ですが、豪雪に見舞われて未だ極寒の冬景色の地方も多いことでしょう。
先日お檀家に伺った折りのことです。
老婆が毛布をかぶって震えながら留守番をしていました。
訳を尋ねますと、ストーブの操作がわからないとのことでした。
その機種はコンピューター制御の最新式のものでありました。
薪や石炭をくべることが出来てもボタン操作がわからない。
次々と出てくる家庭電化商品や、町中にある自販機などに対応できぬ人もいる。
老婆のみならず、時に文明の利器に対応できなくなった自分自身を感じながら、脳裏にある言葉が思い出されまし た。
「百人中三人しか使えないもの、使う人が偉い」「百人中百人が使えるもの、作った人が偉い」「どちらが素晴らしいことか」
阿弥陀佛は、『南無阿弥陀佛』と称えるもの全てをお救い下さることを誓われ、西方極楽浄土をおつくり下さいました。
法然上人は、愚かな私たち誰もがお念仏で往生できるという教えを、お示し下さいました。
なんとすばらしく、尊いことでしょうか。
合掌
北海道第二 天龍寺
松岡玄龍