今月の法話
平成19年4月
ヒーロー
芸能ニュースで森進一氏が歌う「お袋さん」の事を取り上げていた。何でも、作詞家の逆鱗に触れたかどうかで「歌わせない」と、言っているとか?
この「お袋さん」は川口康範氏の作詞であり、私が幼いとき、井戸からつるべで水を汲み風呂に水を張るとき、風呂敷を旨い具合に頭巾風にして被っていた姿を思い出した。即ち、時のヒーロー「月光仮面」である。そう、この「月光仮面」の生みの親が川口氏である。
私はテレビ放送と同時に生まれ育ったが、テレビが我が家に来たのはかなり経ってからのことである。その当時は、近所の家に夜な夜な見に行っては、ヒーローを追い求めていたような気がする。
年を重ねた今、心をときめかすヒーローに出会うことが無くなった気がする。これらから先の人生を考えたとき自分を守ってくれるヒーローは誰だろう?
法然上人の御法語に「念仏する事は、ひとへに、わが父母の、やしなひたてればこそあれ。」とある。実生活の中のヒーローは人生を支えて貰った父母で有った。しかしこの父母が亡くなったとき、その支えを阿弥陀仏に求めた。そして阿弥陀仏にこれからの人生を支えられて生きて行くと思うとき、我がヒーローは阿弥陀仏であると確信させていただくのである。この確信を持ったとき不思議と幼い頃の記憶が鮮明に思い返されるのである。合掌
熊本 浄楽寺
三宅明信