今月の法話
平成19年5月
臨終用心
我が命を見つめた時、それは永遠ではないと、誰もが思うことであります。そして、少しでも健康で長生きしたいと思うのが、万人の思いではないでしょうか。
しかし、平成17年度の厚生労働白書によりますと、1年間で、1,084,012人の方々がお亡くなりになっております。数値を割り出しますと、1分間に約2.1人の方が死を迎えておられるのです。結して人事ではないのです。不安を駆り立ててるのではありません。事実を見つめて頂きたいのです。
また、いつ何が起こるか分からない世の中であります。いざと言うときの心の用心は、お念仏申すものの心得は、一日の終わりにお念仏申すことであります。常日頃から、臨終の用心をするのであります。
それは、眠る時に、ここに阿弥陀様がましますとの思いにて、十念して、只今臨終なりとの思いで、必ずご来迎引接して下さいと回向して休むことであります。
私の命は、永遠ではありません。限りあればこそ、頂いた命が、有り難いのです。
一日の終わりに、眠る時には、阿弥陀様がいま、ここにましますとの思いに十念称えて休むことが、念仏申すものの心得とお受け取り下さい。
眠る時は、阿弥陀様のふところにいだかれて休む。目が覚めれば、今日また命を頂いたことに感謝し、お念仏の中に一日を暮らさせて頂くことが肝要であります。
元祖様は、「阿弥陀仏と 十声称えてまどろまん 永き眠りとなりもこそすれ」と、仰っております。
常平生のお念仏が、臨終のお念仏につながっていくのであります。
兵庫 常楽寺
浦上博隆