今月の法話
平成19年10月
命を大事にする教え
相変わらず凶悪な事件やひさんな事故が相次いで、尊い命が奪われています。また、自ら命を絶つ人たちも後を絶ちません。私たちはこれまで、苦しみの世界を生まれ変わり、死に変わり、輪廻転生を繰り返してきました。そして、ようやく生れ難き人として、この世に生を受けたのです。この命は、死んで終わりというのではありません。悪い事をすれば、再び輪廻の世界で生死を繰り返し、苦しむというのが仏の教えです。
今の社会を見ると、悪事が余りにも横行しています。政治家、企業の経営者、教育者など、指導的立場にある人たちが、決められた事を破り、それが露見してそろって頭を下げ謝罪をしています。この人たちの次の世は、再び輪廻の世界に戻され、苦しみを続けなければなりません。これは命を粗末にした結果ということになります。
こうしたことのないように、悪を改め善行を積んで輪廻の世界を抜け出し、仏の世界に生れ、そこで永遠のいのちを生きるのです。しかし、自分の力で、厳しい仏道修行のできない私たちは、ただ口に南無阿弥陀仏と称えて、阿弥陀さまの浄土に救っていただくしか方法がありません。これこそが命を大事にするということです。ですから、お念仏は、「命」を大事にする究極の仏道修行なのです。
合掌
静岡 大見寺
大鐘一海