今月の法話
平成19年12月
暮れにけり
今年は近年希にみる天候不順でありました。秋も深まりつつある十一月末より、早くもクリスマス商戦がはじまり、年の瀬を一層早く感じさせるようであり、心を浮き立たせます。
クリスマスはキリストの誕生日として広く全世界で祝われていますが、暑い国エルサレムで生誕されたキリストと、サンタクロースの姿を比べますとどうも合点のいかないところがあります。実はサンタは北欧生まれで、キリストと何の関係があるだろうと考えてみますと、「冬至」の行事に行き着きます。
まだ、気象状況が解っていない時、人々は弱ってゆく太陽に大変な恐怖心を持ち、このまま太陽がなくなってしまえば、生活ができない。何とか太陽が復活するように願いました。特に北欧では、今もそうでありますように、そのことが強く感じられたのであります。
このことがキリストの生誕祭と重なり、北欧においてサンタが誕生し、コカコーラにより赤いサンタが登場し、全世界に広まり、現代のようなクリスマスとなってきました。
十二月二十五日は知恩院大殿で「御身拭い式」が行われます。一年の垢と埃を落とし、新しい年を迎える心構え、一年の反省をし、身も心もお念仏の中で浸り、来年の誓いの構想を練りたいものであります。また、この日は神戸浄土宗青年会がルミナリエで賑わう神戸の街で「念仏行脚」を行い、念仏の声を行い、念仏の声を街中に届かせます。混迷の世の癒しとなれば幸いです。
今年こそ 今年こそとて 暮れにけり
兵庫 光明寺
山口芳典