今月の法話

平成20年9月

使用前・使用後

--ビフォー・アフター--

 「使用前・使用後」(ビフォー・アフター)という言葉が近頃使われるようです。テレビのリフォーム番組で使われ始めたように記憶していますが今では、美容やダイエットなどに関して多く使われるようです。アンチエイジング特集などを見ていると、我が目を疑いたくなるような事もあります。
 先日おてつぎこども奉仕団に子ども達を引率した時に、往路では全く無かった事ですが、帰路フェリーの中で、夕食時に食作法を行い「同唱十念・いただきます」で食べ始め、終わりには「同唱十念・ごちそうさま」で終わりました。一般のお客さんが何事だろうと振り返ってしげしげと眺められる。今年は他の宗教団体の子ども達と一緒になりました。彼らも同じように作法「いただきます」から始まり揃って「ごちそうさま」で終わるのです。3日間の宗教体験がもたらす効果は本当に凄いの一言でしょうか。まさしく「使用前・使用後」でしょうか。
 フェリーの中で「いただきます・ごちそうさま」と大きな声を出す子どもを見ている回りの大人は、おそらく自宅では自分の子どもにやかましく躾をされているのではなかろうか?しかしこんな大勢の人の所では“恥ずかしさ”が出てくるのではないでしょうか?
 浄土宗では「愚者の自覚を」と標榜しています。普段の生活を振り返り自問自答していただき我が身の「愚かさ」に気付かせて頂き、念仏の生活に励んで頂きたい。
 普段お生活の中に「使用前・使用後」もっと言えば誰もが驚く「劇的ビフォーアフター」の人生がそこにあるのであないでしょうか?
                                              

合掌

熊本 浄業寺
三宅明信

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