今月の法話
平成20年12月
有り難いなあ。
「有り難いですなあ。」という言葉が口癖のお婆さんがいらっしゃいます。悪いことがあっても必ずその後には良いことがあり、いつでも阿弥陀さまやご先祖様から守られていると信じておられるのです。
この方の常に前向きで、明るい考え方の根本には、お念仏の信仰があります。毎日のお勤めはもちろん、月参りの時にも、必ず私の後ろでー緒にお念仏を称えて下さいます。僧侶にとっても有り難いお檀家さんであります。
しかし、この方が常に順風満帆に暮らしてこられたわけではございません。息子さんに先立たれるという逆縁に遭われましたし、今も病気に苦しんでおられます。けれど、いつも陽気に笑っておられるのです。
「お仏壇にお供えしたお水でお薬を飲むと、よう効きますんや。ホンマでっせ。」と言っては、またにっこり笑われるのです、ああ、有り難いなあ。この方は本当に仏様から守られているのでしょうね。ご本願を信じてお念仏をお称えする人は、阿弥陀さまをはじめ、沢山の諸仏菩薩さまから守られておられるのです。
私たちは、苦しみ悲しみの多いこの世を生きていかねばなりません。ならば、愚痴って生きるよりは、阿弥陀さまに守られていると信じて、お念仏をお称えして生きていきたいものでございます。
合掌
大阪 浄念寺
坂下雅裕